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  1. 青森県議会 2018-03-20
    平成30年商工労働観光エネルギー委員会 本文 開催日: 2018-03-20


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ○開 会  午前11時 ◯高橋委員長  ただいまから商工労働観光エネルギー委員会を開きます。  慣例により、会議の記録署名委員を指名いたします。諏訪委員鳴海委員にお願いいたします。  本日の審査案件は、本会議から付託されました議案3件及び所管事項であります。  なお、審査の順序は、エネルギー総合対策局商工労働部観光国際戦略局関係の順に行いますので御了承願います。  それでは、エネルギー総合対策局の議案及び所管事項について審査をいたします。  なお、審査の順序は、初めに議案について、次に所管事項について行います。  それでは、提出議案について、局長から説明を求めます。──大澤エネルギー総合対策局長。 2 ◯大澤エネルギー総合対策局長  今定例会に提出されました諸議案のうち、エネルギー総合対策局所管に係るものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。  議案第1号「平成30年度青森県一般会計予算案」につきましては、予算委員会に付託されております。  また、議案第80号「平成29年度青森県一般会計補正予算案」につきましては、3月11日の本会議において採決されておりますので、これら以外の議案について御説明申し上げます。  議案第56号「青森県量子科学センター条例の一部を改正する条例案」は、新設する中性子実験準備室等の使用料を定めるなどのためのものであります。  議案第71号「青森県原子力人材育成研究開発推進基金条例を廃止する条例案」は、青森県量子科学センターの整備費の財源に充てていた基金を廃止するためのものであります。  以上、エネルギー総合対策局所管に係る提出議案について、その概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議くださるようお願い申し上げます。 3 ◯高橋委員長
     ただいま説明のありました議案に対して質疑を行います。  質疑は議題外にわたらないように願います。  なお、答弁者は挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。  質疑はありませんか。──諏訪委員。 4 ◯諏訪委員  議案第56号「青森県量子科学センター条例の一部を改正する条例案」、今回の改正で使用料が設定される施設・設備の概要と、どのような分野に活用が期待されるのか伺いたいと思います。 5 ◯平松エネルギー開発振興課長  今回の改正で使用料を設定する施設・設備は、革新的ながん治療法であるホウ素中性子捕捉療法に係る研究のためのBNCT装置と、実験に用いるマウス等飼育装置及び実験準備室並びに粒子線励起X線分析法により微量の試料にどのような元素がどれだけ含まれるのかを分析するPIXE分析装置及び分析機器測定室となっております。  このうち、BNCT装置等につきましては、この装置を用いて行われる基礎研究から得られる動物実験データ等がん治療法の高度化や新たながん診断用薬剤開発へつなげていくことを目指しており、医学分野での活用が期待されます。  また、PIXE分析装置につきましては、例えば食品や土器などに含まれる微量成分を高感度で検出することが可能であることから、農林水産業分野考古学等での活用が期待されているところです。 6 ◯諏訪委員  センターで発生する放射性廃棄物はどのように保管・廃棄されるのか伺いたいと思います。 7 ◯平松エネルギー開発振興課長  現在、量子科学センターにおいては、放射線障害防止法に基づいて放射線取扱主任者を選任しているほか、放射線障害予防規程を定めて適切に放射線管理業務を行っているところであり、発生する放射性廃棄物についても、同法及び同規程に基づきまして適正に取り扱うこととしております。  具体的には、発生いたしました固体状の放射性廃棄物につきましては、原則として専用の廃棄物容器に封入し、保管廃棄室に保管後、廃棄の受託業者である公益社団法人日本アイソトープ協会が引き取ることとしております。 8 ◯諏訪委員  日本アイソトープ協会はどこに保管しているのでしょうか。 9 ◯平松エネルギー開発振興課長  岩手県滝沢市にあります日本アイソトープ協会茅記念滝沢研究所で保管されると伺っております。 10 ◯諏訪委員  それは一時保管になっているのでしょうか。 11 ◯平松エネルギー開発振興課長  一時保管と聞いております。 12 ◯諏訪委員  先に聞いてしまいますが、一時保管ということはどこかで最終処分をするとの理解でいいでしょうか。 13 ◯平松エネルギー開発振興課長  そのように考えております。 14 ◯諏訪委員  現在、最終処分する場所は特定しているのでしょうか。 15 ◯平松エネルギー開発振興課長  現時点において特定されていると聞いておりません。 16 ◯諏訪委員  それはそれで、これから難題として起きてくるということだけは言っておきます。  そこで、これは2月23日付の報道なのですが、東北大学大学院工学研究科学量子エネルギー工学専攻の准教授が知事に報告に来て、量子科学センター臭化タリウムセンサーの開発でがん治療食品検査装置配管検査などに活用できる旨、報告していたようですが、その際の事業費が文部科学省の福島第一原発の廃炉などの問題解決のための、原子力科学技術人材育成推進事業から出ている費用のようなのですが、当センター臭化タリウムセンサーの開発は先ほどの概要説明で述べられた使用料のどこかで活用されているということは確認できるでしょうか。 17 ◯櫻庭エネルギー総合対策局次長  御質問の臭化タリウムセンサーの報告につきましては、私が当日、立ち会いいたしましたので、答えられる範囲でお答えしたいと思います。もともと准教授が六ヶ所村で研究してきた臭化タリウムという技術を活用して、放射線を特定する装置を開発しており、私どもの量子科学センターの研究室で研究をいたします。ただ、この研究は県が委託する研究ですので、その研究に係る使用料は県が払うため、使用料はただということになります。  一方、同じセンサーを使いまして文部科学省の交付金の対象になりましたのは、センサーをさらに活用して別な研究をするということで、県が委託する研究とは同じ分野ではあるのですが、さらに広範囲の研究をするための別途事業がありまして、それが文部科学省の交付金の対象になっており、福島でも放射線センサーを活用して研究を進めて、実用化につなげていくというような研究を3カ年で行うという整理になっています。 18 ◯諏訪委員  福島第一原発の廃炉などの問題解決のための公募となっているのですが、今回の当センターでの開発は廃炉などの問題解決につながるものなのでしょうか。 19 ◯櫻庭エネルギー総合対策局次長  センサーですので、さまざまな使い道がありまして、今回は福島原発の廃炉に使うための一つの手段として、このセンサーが有効だということで、交付金の対象になりましたが、放射線のセンサーですから、廃炉のためだけではなく、さまざまな形の利用分野はあるのですが、文部科学省の交付金は廃炉に活用できるセンサーという項目で採択になったということです。 20 ◯諏訪委員  直に言ってもらえればいいのですが、福島第一原発の廃炉などとついていますので、いろいろな使い道があるのですが、ただ、福島第一原発の廃炉が主要な見出しで出てきている推進事業ですが、この当センター臭化タリウムセンサーの開発は、その問題解決につながるものなのですか。そのことを直に聞いている。それは直接にはつながらないならつながらないで構いませんので、お答えいただきたいと思います。 21 ◯櫻庭エネルギー総合対策局次長  いろいろな見方がありますが、採用する側からのセンサーの扱いはつながるということで交付金の対象になっているものです。 22 ◯諏訪委員  見方によって、言い方もいろんな言い方ができる。見方がいろいろあるというのは、実際は大変困る解釈なのです。日本原子力研究開発機構が平成28年4月に一般的な原子力科学でなくてしっかり分離しようと、原子力施設を扱う原子力科学と、医療や農林水産業、それから考古学含めた生物、生命科学と分離して、それ以降、いろんな研究も進められてきたのですが、実は次の基金問題ともかかわってくるので、先に進めますが、議案第71号「青森県原子力人材育成研究開発推進基金条例を廃止する条例案」、青森県原子力人材育成研究開発推進基金の概要について、伺います。 23 ◯平松エネルギー開発振興課長  青森県原子力人材育成研究開発推進基金は、原子力の分野における人材の育成及び研究開発を推進するための拠点となる施設の整備に要する経費の財源に充てるため、平成26年4月に設置したものです。  この基金は、文部科学省が所管する放射線利用原子力基盤技術試験研究推進交付金を原資としまして、放射線の利用または原子力基盤技術に関する試験研究を行うために必要な施設、設備及び備品の整備に係る事業に要する経費の財源として、これまで量子科学センター整備事業に活用してきたところです。  今般、量子科学センター整備事業が今年度で終了することに伴いまして、同基金を廃止することとしているものです。 24 ◯諏訪委員  条例の名称にある原子力人材育成について、県はどのように取り組んでいるのか伺いたいと思います。 25 ◯平松エネルギー開発振興課長  量子科学センターにおける原子力人材育成取り組みにつきましては、大きく4つありますけれども、1つとして原子力関連施設安全性向上、2つとして原子力関連産業への雇用促進、3つとして原子力・放射線への理解促進、4つとして新たな産業づくりの4つの活動目標に沿って展開していくこととしております。  県では、これらの活動目標に沿った研修テーマを設定しまして、安全研修技術研修事業原子力関連研修機関に委託して実施しており、昨年10月の量子科学センター開設以降、これらに加えまして、原子力施設安全性向上を図る取り組みとして、県と原子力安全推進協会との共催によります危機管理研修原子力施設の視察と組み合わせた原子力事業者による研修など、各種団体が同センターを活用してさまざまな研修を実施しているところです。 26 ◯諏訪委員  基金条例ができた経緯についてなのですが、条例そのものは平成26年3月に公布されましたが、そのもとになったのが平成20年2月の青森県原子力人材育成研究開発推進構想であります。この構想が土台になって基金条例へと向かうのですが、この構想の初めにという部分に、原子力発電核燃料サイクルを推進することが基本方針だ。原子力分野における優秀な技術者、研究者を育成して、人材を確保する。それから、必要性というところで、実際に稼働中、あるいは建設中の原子力施設研究施設で実習を行うという文言が出てきます。さらに原子燃料サイクル施設東通原子力発電所大間原子力発電所等の施設を有効に使うという記述があちこちに散在するのですが、実際に現にあるそういう施設等で有効に使う原子力人材の育成というのは取り組まれてきたのでしょうか。 27 ◯平松エネルギー開発振興課長  県では、先ほども申し上げましたけれども、これまでも安全研修とか技術研修等原子力機関に委託して実施してきておりますので、これまでも取り組んできたところです。 28 ◯諏訪委員  六ヶ所村の原子燃料サイクル施設東通原子力発電所大間原子力発電所は建設の真っ最中ですが、それらの施設を有効に使う。それで基金条例ができていくのですが、実際にそれらの施設を原子力の人材を育成するという点で有効に使われたのかを聞いているのです。そして、量子科学センターへと変化していくのですが、その経過が大事なのです。3.11以降、なおさら原子力施設に就職したり、その分野に馳せ参ずる若者もだんだん減少していく傾向の中で、しっかり支えていかないと大変なことになるというので原子力分野人材育成を立ち上げてきたのですが、しかし、実際はなかなかそうならないのです。現に量子科学センターも医療や農林水産業、考古学、その他の産業にどのように有効に生かしていくかというところに中心が置かれているのです。原子力施設の人材をどんどん確保していく、育成していくという点で、なおやはり大きな弱点を持っているのです。初期の構想や目的に照らしてどうなのかということが大事な点なのです。量子科学センターそのものでいろいろやられるというのはいいことです。いろいろ製品の開発にもつなげていく。これはこれで大事なことなのです。最も大事な原子力分野における人材育成という点で、これらの基金やセンターの役割の発揮という点でどうなのだろうということがきちんと総括されないと、私はだめだと思って、今、議論しているわけです。率直にお答えいただきたいと思います。 29 ◯平松エネルギー開発振興課長  原子力分野人材育成につきましては、これまでも国や大学等の教育機関における専門的な研究を通じて人材育成を進めておりますし、事業者等においても人材育成に取り組んでいるところです。その流れの中で、先ほど委員がおっしゃられた量子科学センターの前の、仮称ですが、原子力人材育成研究開発推進構想にも記載されておりますし、県としても原子力関連施設の立地環境を生かしまして、国、教育研究機関事業者等の協力を得て、原子力利用を支える人材育成に積極的に貢献していきたいと考えておりまして、開設以降もさらに加えて安全研修等を実施してきたところです。  そのほか、先ほどおっしゃられておりました医療系などのほうに傾いているのではなかろうかという御指摘もありましたけれども、県として、量子科学センターにつきましては、先ほど御紹介した装置につきましては、一部、BNCT装置などの医療系のものもありましたけれども、具体的な施設の整備計画を策定する過程の中で、先ほどの基本構想に加えまして、その後、基本構想をより実現するために青森県原子力人材育成研究開発拠点計画を平成25年3月に策定いたしまして、この中で具体的にどのような方向で原子力の人材育成をしていくか、それから先ほど話にありました、RIを活用した研究も進めていくというのがこの過程の中で出てきているものです。したがいまして、その次の段階で実際のセンター基本計画ができ上がってきたわけですけれども、それは青森県原子力人材育成研究開発活動計画検討委員会が設置されて、その中で東北大学を初めとする関係機関との協議調整の上、4つの基本テーマを柱とした研究を進めることとしておりまして、先ほどの医療分野以外についても、例えば高レベル放射性廃棄物からの放射性同位元素分離技術の開発であるとか、先ほどの知事を表敬した研究の一部ですけれども、放射線計測技術の開発、放射線を用いた材料科学技術の開発などをテーマとしており、現センターにおきましても原子力を含む幅広い量子科学分野研究開発取り組み、また、それを応用して、先ほど申し上げました安全研修も含めて原子力人材の育成に寄与するものとして県としても貢献していきたいと思っております。 30 ◯諏訪委員  収束していきますが、私は無理な議論をしているつもりはないのです。そもそも論からいえば、原子力施設人材育成なのです。それは原発であったり、核燃サイクル事業であったり、だから、そもそもの構想からその施設そのものを有効に使おうということになっていたのですが、なかなかそうならないのです。そこはやっぱり受けとめる必要があるのだと思うのです。  同じ放射線を扱うから、原子力関連だと言ってしまえば、もうそれでおしまいなのです。しかし、実際、量子科学センターで扱うのは医療分野であり、農林水産業分野であり、考古学であったり、それは原子力施設にかかわる関連のある研究だとやることは、見方によってはそれはできるのだけれども、それ自体、何も否定しているわけでもないのです。ただ、実際に3.11以降、原子力施設等を扱う原子力の人材育成が思うようにいっていないということは率直に受けとめて、これはどう本格的な体制を構築していくかということは、私は原発、核燃を推進する立場ではないのですが、推進する立場の人たちにとっても極めて重要なテーマになっているのです。だから、それは率直になる必要があるのです。そのことだけは意見として述べておきたいと思います。 31 ◯高橋委員長  ほかに質疑はありませんか。  [「なし」と呼ぶ者あり]  ないようでありますから、これをもって議案に対する質疑を終わります。
     これより議案の採決をいたします。  議案第56号の原案に賛成の方は御起立を願います。  [賛成者起立]  起立多数であります。  よって、原案は可決されました。  議案第71号の原案に賛成の方は御起立を願います。  [賛成者起立]  起立総員であります。  よって、原案は可決されました。  次に、所管事項について質疑を行います。  質疑は所管外にわたらないように願います。  なお、答弁者は挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。  質疑はありませんか。──三橋委員。 32 ◯三橋委員  昨日、大間の原子力発電所の建設差しとめ等を求める裁判で一定の判決が出たわけであります。実際、建設段階で裁判官に判断を求めるというのも大変なところでありますし、これに対する県の見解を求めたとしても、訴訟相手でも何でもないので、この件に関しては特に質問するというのではなく、実際にこういったことが全国のいろいろな場所で起こされて、そしてまた本県の場合、他県の違う部分として、全国唯一の再処理工場を有しているという部分があります。  使用済燃料等に対する再処理に関して、県民の関心や理解も他県に比べればかなり高いレベルにあるということでありますけれども、それであっても、県民の間で再処理の仕組みへの理解が進んでいないため、これからもそこはしっかりしていかなければいけない部分があると思うのです。国のエネルギー基本計画等の3E+Sという考え方で、3Eの自給率、経済効率性、環境適合を英語で言い直すところまでを県民に求めるのではなくて、3E+SのSの安全性が大事です。知事も大前提として安全なくして原子力なしという言葉を常に使っております。そして、やはり安いほうがいいには決まっているので、適正な価格で入る。安全であり、安価であり、そして忘れていけないのは安定して手に入るということだと思います。  実際、ことしに入ってから、それほど報道はされていないのですけれども、大停電に至るおそれがある日が何日かあった。これだけ電力が安定供給されている国であっても、大停電に陥る可能性があった日が何日かある。例えば、関東で雪が降って、太陽光が全部、雪で埋まるような現実もあったわけでありますし、私の地元のつがる市では、日本最大級の風力発電が集積してありますけれども、実際にそれが稼働したとしても、風が吹かなければどうにもならない状況にあります。要は、安定というのは原料等を供給できるという安定性もありますし、良質な電気を生み出すという意味での安定というのも非常に求められていると思います。  ここで、いろんな国民の間で議論が出るのは、安全であって、安価であって、安定していたとしても、やはり安心に結びつかない部分もどうしてもある。安全と安心はやっぱり違います。国民の中で、この安心まで持ってこないことには、エネルギーというものの本質を考えたとき、これからもいろいろ論争が起きることになると思うのです。  そこで、本県としては、今までずっと再処理という、使用済燃料、核燃料サイクルの国の基本方針をさまざまな議論をしながら受け入れてきた経過があって、そして今、エネルギーの基本計画を国がしっかりと定めていますけれども、この中でも一貫して求められているのが確固たる国家戦略という言葉です。本県も確固たる国家戦略に対して、しっかりと核燃料サイクル等を位置づけていくということを幾度も表明しております。  そこで、まず、基本的な理解をするためにですけれども、いま一度、核燃料サイクルについて、県がいう確固たる国家戦略というのは、使用済燃料の全量再処理を意味しているのかお伺いしたいと思います。 33 ◯笹山原子力立地対策課長  確固たる国家戦略と再処理との関係ということについてです。  エネルギー資源に乏しい我が国においては、国家安全保障、地球温暖化への対応等の観点から、一貫して原子力発電及び核燃料サイクルの推進を基本政策としてきていることから、県としてはこの方針を確固たる国家戦略と認識しているところであります。  したがって、核燃料サイクル政策上、確固たる国家戦略としては、資源である使用済燃料は全て再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する必要があるものと認識しております。 34 ◯三橋委員  今のお答えの中でも確固たる国家戦略という言葉に対して、国の一貫した方針ということの中で、現行のエネルギー基本計画では方針として原子力を20%から22%、再生可能エネルギーを22%から24%と定められていますけれども、実際、2016年の発電量を見ますと、LNG火力が44%、石炭火力が31%、石油が7%、再生可能エネルギーが15%、原子力がわずか2%ということであります。実際、エネルギー基本計画と現実はこれだけ乖離して、地球温暖化対策としてのCO2排出等もかなり議論されている中でも、2016年時点で出されている数字としては82%を火力に頼っているというのが我が国のエネルギーの現状でもあります。これから先、5年、10年の問題ではなくて、100年、1,000年先まで我が日本という国家が世界の中でしっかり生き抜いていくためのエネルギー戦略は、エネルギー基本計画を随時見直していきながら、さらに本当に安全であり、安定している、そしてまた国民、県民が安心できるエネルギーをしっかりつくり出していくため、我々もさまざまな形で議論に参画させてもらっているわけであります。  一貫した方針を今まで原子力行政等を中心に、エネルギー行政に携わってこられた大澤エネルギー総合対策局長はこの3月で退職ということで、また新たな道を歩まれることになると思いますが、今、私もさまざま言いましたけれども、大澤局長からこの長きにわたって一貫して担当されてきた本県のエネルギー政策そのものについて、所感を伺えればと思います。 35 ◯大澤エネルギー総合対策局長  私はこれまでエネルギー、特に原子力行政が長かったのですけれども、それを踏まえて所感を述べさせていただきます。  青森県を考えると、水、食料、エネルギーと、これから21世紀の戦略資源が豊富な地域ですので、これをしっかり生かしていく必要があると思っております。その中でエネルギーにつきましては、これまで国が一貫してエネルギー基本政策についてはベストミックスということと、それから原子力については安全・安心に進めていくという形で進められてきています。我々も、その状況を踏まえまして、今後も国においてぶれることなく確固たる国家戦略として進めていただきたいと思っています。  そのほか、エネルギーにつきましては、当然、国家戦略に協力するという立場と同時に、やはり本県の産業振興、雇用創出につなげていく必要があるということで、我々も協力するわけです。  また、特に原子力の絡みでつけ加えさせていただければ、やはり原子力行政が長きにわたっているわけですけれども、原子力立地もいろいろやってきましたし、その間、国内で原子力事故がありました。その都度、衝撃があるわけですけれども、特に福島の事故は、津波の被害とともに、これから我々がその意味をどう考えるか、どう受けとめていくかということは、これから先もずっと考え続けていく課題だと思っています。 36 ◯三橋委員  私も議員になって15年ぐらい、エネルギー政策に関してはさまざまな形で議論してきましたけれども、それ以上の35年の長きにわたって、さまざまな議論をしてきた大澤イズムをまた今後、新たにエネルギー政策にかかわる県職員の皆様に、しっかりと伝えていただいて、そしてまた、県の考え方を国にしっかりと理解してもらう部分は県側の役目でもあり、そしてまた、議会としても確固たる意思を持って伝えていかなければいけないときもあると思います。さまざまな場面で選択を迫られることが我々にも数多くあると思います。そのことを今の大澤局長の言葉もかみしめながら、今後、エネルギー政策に対して、しっかりと取り組んでいくことをお誓い申し上げて、私からの質問を終わります。  本当にお疲れさまでした。 37 ◯高橋委員長  ほかに質疑はありませんか。  [「なし」と呼ぶ者あり]  ないようでありますから、これをもってエネルギー総合対策局の審査を終わります。  執行部入れかえのため、暫時休憩いたします。 ○休 憩  午前11時40分 ○再 開  午前11時43分 38 ◯高橋委員長  休憩前に引き続き委員会を開きます。  商工労働部観光国際戦略局関係の議案及び所管事項について審査を行います。  なお、本日は佐々木観光企画課長が欠席しております。  審査の順序は、初めに議案について、次に所管事項について行います。  それでは、提出議案について、部長から説明を求めます。──葛西商工労働部長。 39 ◯葛西商工労働部長  今定例会に提出されました諸議案のうち、商工労働部及び労働委員会所管に係るものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。  議案第1号「平成30年度青森県一般会計予算案」及び議案第13号「平成30年度青森県小規模企業者等設備導入資金特別会計予算案」につきましては、予算特別委員会に付託されております。  また、議案第80号「平成29年度青森県一般会計補正予算(第6号)案」及び議案第90号「平成29年度青森県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第3号)案」につきましては、3月12日に本会議において審議が行われ、採決されておりますので、これら以外の議案について御説明申し上げます。  提出議案説明書の7ページをごらんください。  10行目になりますけれども、議案第74号「青森県新産業都市建設事業団に委託すべき事業に関する計画の一部変更に係る協議の件」につきましては、平成30年度における青森県新産業都市建設事業団の維持管理に要する経費について、各設置団体が負担する額を変更するものであり、地方自治法の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第300条第1項及び第5項の規定に基づき、同事業団に委託すべき事業に関する計画の一部変更について関係市町と協議するものです。  以上、商工労働部及び労働委員会所管に係る提出議案につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議くださるよう、お願い申し上げます。 40 ◯高橋委員長  ただいま説明のありました議案に対して質疑を行います。  質疑は議題外にわたらないように願います。  なお、答弁者は挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。  質疑はありませんか。──諏訪委員。 41 ◯諏訪委員  議案第74号「青森県新産業都市建設事業団に委託すべき事業に関する計画の一部変更に係る協議の件」について、現在、新産業都市建設事業団が実施している4つの事業の進捗状況について、金矢工業団地の分譲促進に向けたこれまでの取り組み状況と今後の取り組みについてそれぞれ伺います。 42 ◯船水産業立地推進課長  まず、4つの事業の進捗状況につきましては、県が委託している金矢工業用地造成事業で用地面積が約74ヘクタールありまして、現状、分譲面積が約29ヘクタール、分譲率は約39%となっております。土地のリースも含めた利用率では約45%で半分弱となっております。  次に、八戸市が委託している桔梗野工業用地造成事業で、用地面積約65ヘクタールに対して分譲面積が約59ヘクタール、分譲率は約91%、同じく八戸市が委託しております八戸北インター工業用地造成事業で、用地面積が約100ヘクタールに対しまして分譲面積が約84ヘクタールで分譲率約85%となっております。  さらにもう一つ、おいらせ町が委託しております百石住宅用地造成事業では用地面積が約17.2ヘクタールに対しまして分譲面積が約16.8ヘクタールで、分譲率は98%となっております。  なお、桔梗野工業用地と百石住宅用地造成事業につきましては、会計上、資金不足が生じておりますので、同事業団では各事業の委託団体である八戸市及びおいらせ町と協議の上、平成21年度にそれぞれの事業に対して経営健全化計画を策定しまして、毎年度、八戸市、おいらせ町から債務解消のための繰り入れを行うなど、経営の健全化に向けて取り組んでいるところです。  もう1点、金矢工業団地の分譲促進についてです。  金矢工業団地は、昭和51年から分譲を開始しておりますが、当初、分譲率の低迷が続いていたことから、県では金融機関の借り入れの金利による分譲価格の上昇を抑えるために、平成8年から平成23年まで事業団に対する無利子貸し付けを行ってきたほか、同工業団地内の土地取得に対する補助率を引き上げるなど、分譲促進策を講じてまいりました。  さらに、平成25年3月の上北道路六戸・三沢インターチェンジの開設、あるいは日本航空の大阪-三沢便の再開による交通アクセスの向上という工業団地の優位性を紹介する中、平成26年2月に同団地の最大区画に大型の木材加工施設が立地しまして、先般の質疑でもありましたが、来年の4月には同区画でまた新たな木材加工施設が建設される予定となっております。  県としましては、引き続き首都圏での企業訪問活動などの営業活動を積極的に行うほか、金矢工業団地に企業を招いて、現地の視察会をより重点的に行うとともに、首都圏等で実施される展示会、あるいはいろいろな広告媒体を活用しまして、平成30年度に開通予定の上北天間林道路の開通ということで、交通アクセスのさらなる向上、あるいは青森県はまだまだ全国的には人材が比較的とりやすいということがありますので、人材確保の優位性などを改めてPRしまして、今後とも地元の自治体と連携を図りながら、分譲促進に努めてまいりたいと考えております。 43 ◯諏訪委員  先に1点、確認したいことがあります。事前に平成29年3月末現在の新産業都市建設事業団実施事業一覧表という資料をいただきました。ここで平成28年度末の桔梗野工業用地の債務残高が、36.2億円と三角がついて記載されています。一方で、桔梗野工業用地造成事業の経営健全化計画の平成28年度実施状況では、平成28年度の資金不足額、15億6,763万円と出てきているのですが、36億円の平成28年度末の債務残高と、経営健全化計画の資金不足額との差というのは何なのでしょうか。 44 ◯船水産業立地推進課長  諏訪委員にお渡ししている資料ですが、お話があった経営健全化計画の平成28年度実施状況の資金不足は流動資産などをいろいろ計算した上での資金不足で、総務省に報告するもので、債務残高の36億円は純粋に負債の部分ということで、もとになる算定方法が違います。 45 ◯諏訪委員  計算の違いがあるというのはわかったけれども、この差の分というのは何によるのですか。 46 ◯船水産業立地推進課長  36億円の赤字部分に対する補填のため、現在、県が事業団を通じて36億円の一部を無利子貸し付けとして金利負荷が生じないように貸し付けしております。それが二十数億円になるのです。その残りの差額十数億円については、新産業事業団が既に終わった八戸市に委託していた事業に黒字がありまして、そちらの黒字会計から13億円ほど事業団に貸し付けしているということで、合わせて36億円になるのですが、その他会計からの繰り入れを差し引いてということでイコールにならない。基本的な計算方法はそういうものになります。 47 ◯諏訪委員  確認しておきたいのは、無利子貸し付けの関係なのですが、恐らく銀行に長期で借り入れしてしまうと利息が発生して大変だというので、恐らく短期間で銀行に払い、銀行から借りまた払うという手法なのだと思うのですが、無利子貸し付けで県が事業団に貸し、事業団が銀行に払い、直ちに銀行から借りて、県が貸して、借りた分でまた銀行に支払いをするというこの仕組みをもっとわかりやすく教えてくれませんか。
    48 ◯船水産業立地推進課長  平成22年度までは事業団が有利子で長期借入金を金融機関から借り入れていたのですが、有利子ですので、毎年度、二十数億円、30億円ということで、相当な金利負担が生じていて、それがどんどん膨らむと、また赤字がかさむという悪循環が出ておりましたので、市からの要請があったことを受けてなのですが、基本的には県が無利子貸し付けしまして、一旦、有利子負債を返済してしまいました。ただし、貸し付けの仕組みが、県は事業団に対して長期ではなくて毎年度、4月1日に貸して、3月31日に返してもらうことで毎年、残高を減らしていました。3月31日に一旦返してもらって、また4月1日に預けるのですけれども、最短で2日間、タイムラグが生じますので、その2日間は金融機関から有利子で借り入れして、県がまた4月1日に貸すまではしようがないということで、その繰り返しで七、八年はそういう仕組みで、返済しているという状態になっております。 49 ◯諏訪委員  それについてのもう一つの確認なのですが、通常、住宅ローンを組むと20年返済であれば、途中、十分、潤沢な金をつかんでも、一括して払うというわけにはいかないのです。銀行は、20年間の利息を稼ぎたいのです。それなのに、何でこういう契約ができてしまうのでしょう。何か根拠はあるのでしょうか。 50 ◯船水産業立地推進課長  やや臆測も入るのですが、例えば昭和終わりぐらいか、あるいは平成一桁代に約定どおりにいくと返済が終わっている貸し付けだったので、それが10年、20年と返済が延びている。それは金融機関のほうでリスケジュールで延ばしていただいていたのでしょうけれども、当初の償還期間がもう超えてしまっているので、貸していると金利は稼げるんですが、ある程度、銀行としては十分稼いだということもあって、あとは地元の自治体からの要請を受けて、一括返済を受けましょうということで解釈しております。 51 ◯諏訪委員  つまり、法律あるいは規定上ではなくて、銀行の判断でそれでいいですということでいいですか。 52 ◯船水産業立地推進課長  委託団体であります八戸市の要請を受けて金融機関、事業団が実施主体ですので、事業団としての要請を受けて金融機関がそれを了解したと解釈しております。 53 ◯諏訪委員  金矢工業団地に今度、新しく木材加工工場が立地されますが、土地の取得等で幾らの代金がどこ宛てに払われているのでしょうか。つまり、金矢工業団地分譲地が広まるわけですから、幾らの額でどこにこれが送金されることになるのでしょうか。 54 ◯船水産業立地推進課長  ファーストプライウッドは平成26年度に金矢工業用地の土地を買っていただきまして、当時の売却収入は11億8,900万円となっております。先ほど、桔梗野工業団地が他会計から黒字分の貸し付けを受けているという話をしたのですが、実は金矢工業用地も5億円弱、既に終わった他会計から無利子貸し付けを受けておりまして、12億円弱のうちの約5億円を他会計から借りている部分で返済しました。残り7億円弱あるのですが、5億円余を県に返済していただいて、残り1億8,000万円ほどを今後またさらなる分譲の際に必要な経費が生じる可能性がありますので、事業団の中に留保しているという状態で現在も残っておりますけれども、実際は5億1,900万円ほどを県に返済いただいております。 55 ◯諏訪委員  いろいろ複雑に会計が存在しているということがわかりました。  金矢工業団地では、分譲する上での費用の確保と言っていましたが、通常、金矢工業団地を維持するのに、それとは別に何かの維持費の確保は必要なのでしょうか。 56 ◯船水産業立地推進課長  維持費として、事務費的なものは今回の議案になっております県の負担金として三百数万円を計上しています。必要な事務費は県が2分の1、残り2分の1は事業団を構成する市で負担するということで各自治体が拠出している。そのほかに、土地のリースの収入もありまして、例えば草刈りなど、団地の造成の維持、環境の保全等に必要な部分については、土地のリース代からも支払いをしているというのを産業立地推進課で毎年、経理は確認させていただいております。 57 ◯諏訪委員  この事業団は新産都市建設促進法に基づいて全国各地に設立されたものなのだと思うのですが、しかし、この法律そのものが平成13年に廃止されている。平成13年で廃止時期を迎えたのに、本県のように現在もなお新産業事業団が維持され、運営されている地域はあるのでしょうか。 58 ◯船水産業立地推進課長  委員御指摘のとおり、平成13年に新産業都市の制度、法律は廃止を迎えまして、以降、青森県のほかに福島県も平成13年以降も継続していたと確認をとっておりますが、ただ、平成29年度現在は福島県ももう解散しておりまして、解散時期については不明ですけれども、現状、存続しているのは青森県だけと確認しています。 59 ◯諏訪委員  平成22年9月議会で金矢工業団地の負債処理をしました。当時、64億円でした。それから、桔梗野工業団地の負債処理に30億円の無利子貸し付けをしました。これが今日まで、さっき答弁されたような事態があって、結果としては、結局、県民負担になるでしょうということで、この提案には我が党は反対しましたけれども、今もなお青森県だけが事業団として残り、事業の運営に尾を引いている。金矢工業団地もまた残っているところで、しっかり処理しなければならないのですが、この後、また10年、20年と続いていくのもなんですし、できるだけ早い時期に解決して、けりをつけていくということが求められているのではないだろうかという意見だけは付しておきたいと思います。 60 ◯高橋委員長  ほかに質疑はありませんか。  [「なし」と呼ぶ者あり]  ないようでありますから、これをもって議案に対する質疑を終わります。  これより議案の採決をいたします。  議案第74号の原案に賛成の方は御起立を願います。  [賛成者起立]  起立多数であります。  よって、原案は可決されました。  午さんのため、暫時休憩いたします。 ○休 憩  午後 0時 7分 ○再 開  午後 1時 61 ◯高橋委員長  休憩前に引き続き、委員会を開きます。  所管事項について質疑を行います。  質疑は所管外にわたらないように願います。  なお、答弁者は挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。  質疑はありませんか。──菊池委員。 62 ◯菊池委員  それでは、所管事項につきまして質問をさせていただきたいと思います。  今回は大きな問いとしては2つ、LED信号灯器着雪・凍結対策について、もう1つは本県の観光振興に向けた取り組みということで、大きく2つの問いに質問をさせていただきたいと思います。  まず最初は、ことし3月2日、議会の代表質問の日だったと思いますが、朝、非常に強い寒波が入っていて、私もあの日、本当に大変な横風、そして雪が降っていたということもあり、道を運転していても、信号機に完全に着雪してしまっていて、どこが交差点なのかもわからない、そして非常に危険と思いながら、通勤してきたことを今でもよく覚えておりますが、それを踏まえて、LED信号灯器は省電力ということで電気料金がかからないという意味では非常にいいと言いながらも、もう一方では着雪した雪がなかなか解けてくれないという、悩ましい問題を抱えているということで、今年度から商工労働部がこれらの取り組みについて、2年間の重点ということで予算獲得をして取り組んでいるということであります。  先日、私も2月26日の勉強会に出席させていただきまして、LED信号灯器の着雪・凍結対策に関する研究発表会にも出席をさせていただきまして、各企業や高校生の発表を聞きながら、現状の課題や、これからに向けてという部分も説明をいただいたし、また、今の状況も伺うことができました。  そこで、2つの問いをこれからしていきたいと思うのですが、県の取り組み実績ということで、今年度の県の取り組み実績について、お伺いをいたします。 63 ◯下井田新産業創造課長  県ではLED信号灯器の着雪・凍結による交通障害等を未然に防止するため、これまでの警察本部を中心とした関係機関によるワーキンググループでの検討を踏まえ、雪に強いLED信号灯器の製品化に向けた技術開発に対する支援や、青森県産業技術センター工業総合研究所による試作品の評価と実用化に向けた研究に取り組んできました。  具体的には、今年度新たに工業総合研究所と連携して行う県内中小企業者の技術開発に要する経費として、補助率2分の1、補助上限を150万円とする補助金を創設し、県内企業3者に助成いたしました。この補助金の活用により、撥水処理等を施した膜を加熱する薄膜被膜ヒーター型や、信号灯器へ継続的に振動を与え着雪を除去する振動型といったLED信号灯器用の着雪防止カバーが新たに試作開発され、工業総合研究所ではそれらの試作品を警察庁が定める交通信号灯器仕様書の計測方法に基づいた光学性能評価や消費電力の評価、着雪による信号灯器の照度の変化についての評価を実施したところです。  その結果、光学性能評価において実施した試験については、いずれの試作品も規定の値をクリアしているほか、着雪防止評価については試作カバーをつけていないものと比較して、信号灯器の照度の回復が早いとの結果が得られました。 64 ◯菊池委員  今の第1弾の試作カバーの話もありましたが、それ以外にもいろいろ各企業の実験等を見ていきますと、例えば名久井農業高校であれば、角度が大事であるとか、さらには振動を起こすことによって雪が着雪しないようにするとか、またはほかの企業ですと、電熱線を入れて、雪を解かしていくという、それは実験中の段階だということで、まだ足りない部分があるという話を各企業の説明の中でもありましたが、これから製品化していかなくてはいけないというのが来年度の一つのゴールではないかと思うのです。  そこで、製品化に向けて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。 65 ◯下井田新産業創造課長  県では製品化を一層加速するため、来年度の予算案において、県内中小企業者の技術開発に要する経費の支援を現在の3者から1者へ絞り込み、補助上限を300万円に変更するほか、引き続き青森県産業技術センター工業総合研究所に研究費を交付し、これまでの研究成果を生かした試作品の評価試験や技術的な助言を重ねていって、性能の向上を図っていくこととしています。  一方、警察本部においては、ワーキンググループや研究成果報告会の開催により製品化に向けた検討を行っていくほか、来年度は試作品を実際に公道の信号機に設置して、着雪防止効果等の評価試験を行う予定であると聞いております。  県としては、今年度の取り組み成果を踏まえて、今後ともLED信号灯器の設置者である警察本部と連携しながら、県内企業による早期の製品化が図られるよう取り組んでいきます。 66 ◯菊池委員  今度は1者に絞ってさらに研究を進めていくということであります。  完成品のイメージは、どんな吹雪の中でも、ある程度、照度が保たれて、そして一定の雪が着雪しない状況が保たれることが製品化につながるのか、それとも、視界がある程度のところまで見えるほど信号が光っている状況がある程度、離れたところからでも、ちょっと着雪したとしても見えている状況がいいのかという基準の部分は県としてはどのように考えているのか、お伺いします。 67 ◯下井田新産業創造課長  信号灯器に関しましては、採用される条件が、先ほども答弁申し上げました警察庁が定める交通信号灯器仕様書の計測方法に基づいた光学性能評価で一定の基準が決められていますし、警察本部では試作品の融雪効果や、消費電力によるコストにかかわるデータについて目標とする値があると聞いていますので、そうした各種要件をバランスよくクリアしたものが警察において採用されるものと思っております。 68 ◯菊池委員  一応、私の手元にあるのが大体、150メートル前方からでも認識できるという距離的な面と、あと、消費電力が20ワット以下ということが大きいというところがありますので、私たちも製品化をもちろん願っておりますし、さらにそれらの取り組みを加速できるように県としても後押しをしていただいて、うまく来年度の完成にこぎ着けていただきたいなと思うわけであります。  LED信号灯器に関しましてはこれぐらいにいたしまして、次は本県の観光振興ということで、アオモリ・モビリティ推進事業取り組みについてお伺いをしたいと思います。  これは私も春先にアオモリ・モビリティ体験型プログラムということで、青森県の自然を生かして、より一層、体験型プログラム、また、体験型観光を推進してほしいという話をしておりまして、県としてもことし、重点予算を組んでやられてきたところであると思います。アオモリ・モビリティ推進事業取り組み状況について、お伺いをいたします。 69 ◯堀観光国際戦略局次長  近年、国内外において自然を楽しむアクティビティが人気を集めていることから、県ではカヤック、トレッキング、サイクリング等のアクティビティや公共交通で周遊しながら地域に根差した食や文化体験等を組み合わせ、自然の魅力を丸ごと楽しむ新たな旅のスタイル、モビリティ・ツーリズムの推進に取り組んでおります。  今年度は、県内各地についてルート構築の基盤となるアクティビティの開発を進めるとともに、八甲田・奥入瀬エリア及び白神山地エリアにおいて、アクティビティと公共交通を組み合わせたモデルルートの構築に取り組むとともに、モニターツアーを実施し、旅行者の評価把握と旅行商品の造成促進に努めたところです。  また、県内アクティビティ関係事業者や県職員で構成する官民一体のPRチーム、チームAAAを結成し、全国のアウトドアイベント等の機会を通じてアオモリ・モビリティを県内外にPRするとともに、アウトドア関係メディアの招聘やSNSを活用した情報発信を行いました。  さらに、海外からの誘客を目指して、英語、韓国語及び中国語のパンフレットを作成して現地旅行会社に対するセールス活動を行ったところです。  県といたしましては、これまでの取り組みで獲得したノウハウを活用して、県内アクティビティ関係事業者などと一層の連携を図りながら、ターゲットとする観光客のニーズを的確に捉えて、今後ともモビリティ・ツーリズムを積極的に推進してまいります。 70 ◯菊池委員
     カヤックとかトレッキングとかカヌー、あとはサイクリング等は、どちらかというと春から秋のスポーツということで、ことしは取り組みがこの部分では強化をされてきたのではないか、それこそ、チームAAAのメンバーには知事を初め、堀次長も名前を連ねているということでありますし、職員の皆さんも積極的にかかわってきたということで非常に強い印象があります。  そこで、もう一つの視点でいきますと、やはり今の時期、冬の観光が一つのキーワードになるかと思います。どちらかというと、アオモリ・モビリティ推進事業は、今、言ったように春から秋ですから、やはり冬の観光をどのようにこれから県として考えて、冬期間の体験型観光コンテンツの開発をしていくのかということも大事な視点だと思います。  そこでお伺いいたしますが、冬季の体験型観光コンテンツの開発にかかわる県の取り組みについてお伺いいたします。 71 ◯堀観光国際戦略局次長  本県観光にとって、冬季は1年の中でも観光入込客数や宿泊者数が最も落ち込む時期であり、冬の観光資源をさらに磨き上げ、新たな魅力を引き出していくことが重要であると考えています。  このため、県では各地域県民局単位で市町村や地域の観光事業者などで構成する地域観光マーケティング会議を開催し、地域ならではの素材の発掘や磨き上げを行っているところです。  また、観光団体などが行う新たな観光コンテンツの開発や磨き上げに対する助成や本県観光に精通した専門家の派遣により、地域の主体的な取り組みを支援しています。  さらに、こうして磨き上げられた観光コンテンツについては、各種メディアを活用した情報発信や旅行エージェントへの提案といった展開につなげてまいりました。これまで観光事業者等と連携して、八甲田におけるホワイトアウト体験や豪雪体験、十和田湖冬カヌーなど、地域資源を活用した冬季の体験型コンテンツの開発を支援し、積極的に情報発信しているところです。  今後とも市町村や地域の観光事業者などと一層の連携を図りながら、魅力的な冬季の観光コンテンツの開発に取り組んでまいります。 72 ◯菊池委員  冬季に関しては、今、八甲田の体験ツアーや十和田湖など、幾つかコンテンツがつくられてきているということも確認できました。私たちは毎年、雪を体験して、雪かきをしなくてはいけないとか、雪の時期は非常に寒いとかネガティブなイメージがありますが、南のほうの方からすると、雪を見るだけで楽しい。そしてまた、何かしら体験するのはもっと楽しいというような感想もありまして、そういった意見を聞くと、逆にこれから私たちの青森県の一つの魅力として捉えていけるように、観光面としては、インバウンドも含めてですけれども、国内の人たちにも、体験型アクティビティの取り組み推進を図っていただきたいと思います。  そこで、今、八甲田・十和田という話が出てきたので、関連して、十和田八幡平国立公園満喫プロジェクトの推進状況を伺いたいと思います。 73 ◯堀観光国際戦略局次長  国立公園満喫プロジェクトの推進に当たっては、東北地方環境事務所及び北東北3県が事務局となり、国の機関や地元自治体、関係団体とともに地域協議会を設置し、平成28年12月に十和田八幡平国立公園ステップアッププログラム2020を取りまとめたところです。  県では、これまでステップアッププログラムの重点取り組み地域、ビューポイントに位置づけた八甲田地域における登山道や奥入瀬渓流における遊歩道の改修など、利用環境の整備とともに、課題だった冬期間の体験プログラムの開発、ガイドの育成、国内外での情報発信やプロモーション活動の強化などのソフト事業に関係部局が連携して取り組んでいるところです。  また、国では酸ヶ湯キャンプ場の改修、十和田湖休屋における駅前広場の再整備や廃屋撤去に向けた検討、専門家を招聘してファムツアーを実施したほか、地元十和田市では蔦温泉地区におけるトイレの再整備、奥入瀬渓流における冬景色や氷瀑を鑑賞するツアーバスを運行するなど、関係主体が役割分担しながら計画的に取り組みを進めているところです。  このステップアッププログラムは、ことし、平成30年に5年間の計画期間の折り返しを迎えることから、来年度において、地域協議会で進捗状況等の自己評価を行い、国の有識者会議での意見等を踏まえて、中間評価を取りまとめ、年内にはプログラムの見直しを行うこととしており、しっかりと効果を検証した上で、着実にプロジェクトを推進していくこととしております。 74 ◯菊池委員  登山道であるとか休屋地区の再生ということで、今もまさに進行中のプロジェクトであります。  昨年、私たち青和会会派で八甲田を登り、川村代表も一般質問の中でもその話をされていましたが、これから雪解けして、雪がなくなった段階で、北八甲田登山道が雪の重みで相当ぼろぼろになっているという状況を昨年見ましたし、多分、ことしも同じような状況があると思われます。また、大岳等を上っていって、酸ヶ湯温泉から行くと下り側に大岳の避難小屋がありますが、そちら相当老朽化が進んでいて、昨年行ったときも、階段の手すりがきしんでしまっているような状況で、いつ避難小屋に避難しても、避難小屋が壊れてしまうかもしれないというぐらい相当老朽化が進んでいる。そういったところを県として、このようなプロジェクトの一環でもあります、登山道の整備も含めて、どのようにこれから取り組んでいくのかについてお伺いいたします。 75 ◯堀観光国際戦略局次長  県では、北八甲田において4本の登山道を管理しており、山岳団体等のボランティアの協力による刈り払い作業や維持・管理工事は県単独事業により実施し、良好な登山道の確保に努めるとともに、既存施設の老朽化対策については国の交付金を活用しながら、計画的に改修や再整備を進めているところです。  来年度は、八甲田登山線及び毛無岱線においては、木道等の改修工事とともに、今、お話がありました大岳避難小屋につきましては階段及びバルコニーの改修工事を施工する予定となっております。これら以外の施設等についても現状把握に努め、改修等の必要性や緊急性を十分考慮し、適切に対応していくこととしております。 76 ◯菊池委員  登山は、今、トレッキングと名前が変わって、片仮名読みになっていますが、去年、私も登山道を歩いたときに、かなり女性客も含めて、年配から若い人たちも山を登っているというのが今の八甲田の現状でもあります。岩木山も結構、登っているのです。ですから、登山道であるとか避難小屋など一時休憩をするポイントの整備は重要だろう。ただ、今、出てこなかったのですけど、大岳避難小屋に関しましては、トイレも相当におうのです。夏に行くと、ハエでも飼っているのかというぐらい、トイレを開けた瞬間襲ってくるというぐらいトイレもかなり老朽化もしていますし、設備も古くなっているということで、バイオマストイレ等の新しい仕組みが生まれていることから、トイレの整備も進めていくというのが肝心ではないかと思います。その点について、県の見解を伺います。 77 ◯堀観光国際戦略局次長  委員御指摘のあった大岳避難小屋のトイレですが、観光局担当職員、また、去年は局長も出向いて現場を確認しております。今現在、トイレの清掃につきましては、毎年5月から10月までの間、月5回程度、清掃業務委託により実施しておりまして、薬剤をトイレにまいてにおいやハエ対策を行っているところですが、現状、確かにまだにおいが残っている部分があります。したがいまして、まずはどういった原因があるのか。仙人岱のトイレに比べても、確かに程度がひどいということを確認しておりますので、その原因を調査した上で必要な対策を講じてまいりたいと思います。  また、今、お話がございましたバイオマストイレにつきましては、電源を必要とするタイプ、必要としないタイプ、それぞれ一長一短があります。今、研究しているところですが、電源を必要とするタイプにつきましては、太陽光の蓄電などのため、安定した電力供給のための課題があります。また、一方で電源を必要としないタイプにつきましては、装置が大きくなることから、別途、設置場所の確保が必要となるということで、また、処理能力にも課題があると考えておりますことから、引き続き費用対効果等について、他の事例を参考にしながら研究してまいりたいと思います。 78 ◯菊池委員  先ほど紹介しましたが、今、トレッキングでは女性も相当、山を登っていますので、外国人の方も含めて、女性にとってはトイレは肝心かなめの場所だと思うのです。そういう観点からも、トイレの整備は非常に緊急性も要しますし、さらに清潔感を出すためにも、今の状況ではなかなか改善できないところを県として、率先してやっていただきたいということを要望とさせていただきたいと思います。  全体の話で一つだけ要望させていただきます。  近年、結婚式の引き出物で東京都が中心なのですが、アソビューといわれるギフトカードを来てくれたお客さんに渡しています。アソビューといいますのは、簡単に言いますと、体験型観光プログラムの商品券みたいなものです。全国の登録してある体験型観光プログラムを、そのカードを渡して、楽しむことで、都内の人たちには大分、これが今、好評で、非常にふえ続けているという現状もあります。今の体験型観光プログラムをただやっても、どこもやり始めているということもあって、実際に、では青森まで来て、そういうのおもしろいと言ってもらえるかというと、なかなかそうも行かない。ですから、若い人たちも含めて、観光の方法が変わってきたというのは次長もよく御存じだと思うのですが、一種の商品券という新しい形を活用して取り組んでいくというのも手ではないかということを最近はよく考えます。  青森県を見ると、実は18件しか登録されていなくて、例えば今、チームAAAがやっているような体験型観光プログラムは一つも入ってないのです。今、行政と民間の連携も大事だと思いますし、そういった観点からも、都市部を中心に、今、やられている新しい形の体験型観光プログラムの誘導政策もぜひ活用してみたいということは言わせていただきます。  あと、最後になります。国立公園の満喫プロジェクトですが、星野リゾートの星野さんも入られた、有識者会議の議事録を読ませていただきますと、国内の宿泊とアクティビティそれぞれで動いて、分離されてしまっているとの指摘があります。ですから、よく満喫プロジェクトの中では民間企業との連携ということがうたわれておりますけれども、青森県もこの十和田満喫プロジェクトの中では、残念ながら、まだそういったところが不十分という部分があります。ですから、ぜひ見直しという形で、これからの段階では、民間企業との連携をさらに加速していけるよう、ホテルや旅館関係の人たちとアクティビティを、例えば休屋地区で連携をさせて再生の一つの形をつくっていくというようなところまで国に要望していくということも、これからやっていかなくてはいけないのではないかということを強く思います。  そういった観点で、ぜひ青森県のこれからの観光振興を来年度、またさらに力を入れて取り組んでいただきたいと要望にかえさせていただきます。 79 ◯高橋委員長  ほかに質疑はありませんか。──鳴海委員。 80 ◯鳴海委員  工業高校生等県内就職促進事業におけるものづくり企業PRイベントについて質問させていただきます。  昨年の予算特別委員会以来、当委員会の所属にもなったことで、年間を通してあらゆる場面で取り上げさせていただきました。実際、青森工業と十和田工業のイベントを見学させていただきまして、私なりにいろいろ感じるところ、思うところはありましたけれども、改めまして平成29年度の開催実績とこれについての評価、また、次年度に向けた改善点について伺いたいと思います。 81 ◯中野労政・能力開発課長  ものづくり企業PRイベントにつきましては、昨年9月のむつ工業高校を皮切りに、県内6つの県立工業高校において開催し、延べで1,351名の生徒、131の地元ものづくり企業が参加いたしました。  開催後のアンケートでは、ほとんどの参加企業が今後も展示フェアが開催される場合の出展を希望しているほか、約9割の生徒が県内企業の魅力を知ることができたと回答するなど、高い評価をいただいております。  また、1月に2日間にわたり開催した青森工業高校においては、約65%の生徒が開催前に比べ地元への就職意識が向上したと回答しており、この取り組みの当初の目的が一定程度達成されたものと認識しているところです。  アンケートによる生徒や参加企業からの御意見、また、実施してみた中で判明した問題点は、周りの音で説明が聞こえにくいなど運営上の課題や、生徒の発言が少ない、各企業のPR力に差があるなどが挙げられております。  これらの課題を踏まえ、来年度の実施の際にはブース間の距離に配慮するとともに、事前に生徒に質問等を準備させ、積極的な意見交換を促します。また、企業のPR力の向上のため、アンケート結果を参加企業に情報提供するとともに、事前にプレゼンテーションのポイントを周知するなどして、企業PR力の向上を図ることとしております。  今後もアンケート結果を分析して改善を加えながら、より効果的なイベントとなるよう取り組んでいきたいと考えております。 82 ◯鳴海委員  所管事項ですので軽く触れますけれども、平成30年度予算での事業名を見ますと、あらゆる分野で担い手確保、人材確保、人材育成がうたわれ、農業、林業、畜産、建設とさまざまな分野で人の取り合いであります。そうした中で、本会議の質疑でもありました営農大学校への進学が農業高校出身者が6割、普通高校出身者が4割という比率ということであります。  また、御紹介しますと、先般、農協の青年部と意見交換した際、とある方が商業高校出身で、都内のある企業に勤めて、今は三沢でニンニクをつくっている。とある方はペットボトル工場に勤めていたけれども、今は戻ってきて米をつくっている。また、ある建設業に従事している方の将来の夢は自分で自分の家を建てることだということで、商業高校出身だけれども、建設会社に勤めたと、非常に細かい話ですけれども、実績があるわけであります。  そうした中で、私は工業高校以外にもそういったイベントを実施するべきだと訴えてまいりましたが、質問いたしますけれども、工業高校以外の高校への実施拡大について、県はどのように考えているのかお伺いしたいと思います。 83 ◯中野労政・能力開発課長  企業展示フェアを初めとした企業PRイベントは、地元企業や県立工業高校等と連携し、県内就職率が約4割にとどまる県立工業高校生に対し、地元企業に対する理解を一層浸透させ、就職先の選択肢として関心を持ってもらうことを狙いとしているところですが、県立工業高校での開催が好評であることや、委員の御意見も踏まえまして、先般、県立工業高校以外の高校への実施拡大について検討するため、私立高校を含む県立工業高校以外の72の高校に対し、企業展示フェア参加に関するニーズ調査を行ったところです。  その結果、49校から回答があり、そのうち9校からの参加意向が示されたところです。そのことから、県立工業高校生以外の高校生の参加に向けて、来年度の開催日程等が決まり次第、改めて参加希望校等に意向を確認し、参加人数等に応じ、個別に開催方法を検討していきたいと考えております。 84 ◯鳴海委員  先ほども申しましたが、県内の中で人材の取り合いでどの業種も人手不足、そして工業高校を終えた生徒たちは県外へ夢を求めに、また、高い給料を求めに出ていってしまう。そういう土俵に上がってしまうと、県内企業はどうしても勝てない部分があろうかと思います。そこで、やはり広く若い人材に対して、あらゆる可能性を与えてあげるのが県の立場として、また、大きいくくりでは、我々、大人としての役割ですので、これは現在進行中であります高等学校教育改革推進計画──高校再編のお話にも絡んでまいりますが、職業高校が拠点校として残る。また、統合される職業校もあります。そうした中、だんだん普通校もそれなりの規模を占めていくわけですから、そこに対しても、こういった取り組みをアナウンスして、参加の意向の有無は現場ですればいいわけですから、その可能性とチャンスを与える、そしていずれ卒業した後、戻ってきていただいて県内に勤める。そのきっかけづくりを与えることだけを、私は要望してきたのが、年度内中の実現はかなわなかったわけですが、来年度、次のステップに移行していただけるということですので、ぜひ工業高校生、また、工業高校生以外の若い人の県内定着を図って、魅力ある青森県のためにしっかりと御尽力いただき、その土台を引き続き築いていただければと思います。 85 ◯高橋委員長  ほかに質疑ありませんか。──諏訪委員。 86 ◯諏訪委員  後継者不在企業等の調査結果を踏まえ、今後、事業承継を円滑に進める上での重要なポイントをどのように認識しているのかお伺いいたします。 87 ◯伊藤地域産業課長  今年度実施した後継者不在企業等、590社の調査に係る集計結果を見ますと、事業の存続に向けて経営状況や将来見通し等をしっかり把握して対応していくことが重要と考えられますが、事業承継計画を策定し、中長期的な目標やビジョンを設定して経営を行っていると回答した企業が24.2%にとどまっています。  また、経営者の年齢別で見ますと、将来の事業承継を見据えた後継者選定を始める必要があるといわれている60歳代の企業で42.2%、60歳代以上全体でも39.3%が後継者不在となっています。  これらの調査結果を踏まえますと、今後、円滑な事業承継を進めていくためには後継者不在企業等に早期準備の必要性を認識してもらうとともに、これら企業が経営状況等の把握や事業承継を進めるための長期的な目標やビジョンを設定し、それらを踏まえた経営改善に取り組むことが重要であると認識しているところです。 88 ◯諏訪委員  承継計画を策定し、中長期的なビジョンを設定することが重要なポイントになる。  そこで問題なのは、中長期的なビジョンとは一体何なのだ。ビジョンをつくったはいいが、ビジョンどおり行くかという問題もあるし、ビジョンをつくれなければつくれないで不安はまだ残るし、このビジョン設定に当たってのポイントは一体何なのだろうか。新製品の開拓なのか、販路の開拓なのか、中長期的という場合のそもそもビジョンが描けるのかという問題があると思うのですが、このビジョンのポイントは一体どういうことが求められていると考えたらいいのでしょうか。つまり、相談できる人もいるし、できない人もいるということなのですが、仮に相談できる専門家がいたにしても、ビジョンは策定できるのだろうか、ビジョンどおりに行くのだろうかという疑心暗鬼があって、そこでビジョンを設定する上でのポイントを幾つか教えていただけませんか。 89 ◯伊藤地域産業課長  ビジョンを策定するに当たっては、中小企業事業者がまず今の自分の経営の現状を見極めて、経営課題等を把握していただくということが大切かと思います。その上で、事業承継を行うに当たっても、会社がより魅力的なものでなければ、事業を承継する方も出てこないわけですので、経営改善等を常に図っていく。企業によって課題は違う面はあります。販路開拓が必要な場合もあれば、資金的な部分が必要な場合もある。事業承継のビジョンをつくるに当たっては、21財団等のコーディネーターに中長期的な視点で相談に乗っていただけますので、そちらに相談していただいて、ビジョン、または計画をつくって、それに向けて前向きに取り組んでいくということになろうかと思っております。 90 ◯諏訪委員  事業承継の課題に何があるのかというのでアンケートをとって調査をするということも大事だから、こういう作業もしている。例えばよい事例として、課題を抽出した。この課題はこういうものだ。それを突破する上で、こういう手だてをとった。経営が上向いていった。経営が上向いていったことによって、事業承継できる条件が整ってきた。アンケートをとって集約し、課題抽出することも、いいのですが、実際、手だてをとって、前向きに事業が承継されていく事例として、こんな事例がある、こうやればこうなりますという、もっと展望のあるよい事例が、もし紹介できるのだったら、これは展望のある話だということで、きちんと結びついていけば議論しても大変さわやかになるので、その展望を持った事例集として普及できるものなのか、どうでしょう。 91 ◯伊藤地域産業課長  全国的には事例として紹介されているものもありました。ただ、今、私の手元には全国の事例はないのですけれども、事業引き継ぎ支援センターが21財団の中にありまして、県内ではそちらで取り組んでいるわけですけれども、事業承継した事例はあるのですが、基本、非公開になっています。ただ、本年度、後継者を探して相談していた相手方と、それから創業希望者で県主催の後継者育成セミナーに参加した方がおりまして、そちらが21あおもり産業総合支援センターでマッチングさせて、事業承継に至ったという事例はあります。 92 ◯諏訪委員  マッチングはいいのですが、結論的に言えば、人脈なのだろう。人と人との関係で、そこでうまいぐあいに企業の相乗効果が発揮できるということになるのも人脈なんだろう。業者の皆さんの議論を聞いていくと、そことそことの取引も、ある種、人脈なのです。例えば、ホテルも病院もみんなそれぞれタクシー会社と関係している場合は人脈なのだそうです。突き詰めれば、この事業承継も、人脈的にいい環境にあるという場合はうまく乗っていく。マッチングするものはマッチングする。せっかくやった調査の結果ですから、次々と後継者に事業が承継していく環境があらわれ始めて、物すごい効果てきめんだと目に見えていけば、展望のある事業承継につなげていくことができるのか。議論して突き詰めれば、結局、何なのだというと、よくわからないのです。この弱肉強食の中で、小さい業界がどう生き延びていくのだということになった場合に、ましてや後継者を育てるのかということになると、どうしても内向きに見てしまうのです。難しい側面はありますけれども、もう切り開いていけるのだという、ぜひ前向きな展望のある事業を次々とつくっていただければと思います。  それと、事業承継税制という資料をいただいて、平成30年度税制改正のポイントに贈与税、相続税の負担軽減を今後10年に限り拡充するというのもあるのですが、例えば今回調査した、調査対象事業者が、この事業承継税制の対象になっているものなのでしょうか。大半は株主であったり、株に関する贈与だということが中心で、株式会社でない有限会社など広く存在しているのは事業対象として活用できないのかということもあるので、この辺はどうなっているのでしょうか。 93 ◯伊藤地域産業課長
     今、委員からお話ありましたとおり、来年度、国において大幅に事業承継税制の拡充がなされるということを聞いております。税制改正の主なものとしましては、納税猶予対象株式の割合がこれまで3分の2であったものが全てが対象になる。それから相続税における納税猶予税額がこれまで80%しか認められなかったものが100%認められる。それから、先代の経営者の要件ということで、これまで1人の納税猶予ができるものであったのが、代表者を含む数人からの場合の納税猶予が認められるという形で、国において抜本的な改正をして、事業承継を全面的に進めていくというような方向性にあります。  それから、委員から有限会社は対象になるのかというお話もありましたけれども、平成18年の会社法の改正によりまして、従来の有限会社は特定有限会社という株式会社になったところですけれども、特定有限会社は事業承継税制の対象になるということです。 94 ◯諏訪委員  これもよくわからないので、後でまた勉強させてください。  いずれにしても、国の税制上の優遇措置も、本当に零細な事業承継そのものが困難と思われているようなところも救済していけるような税制改正が求められていると、これは意見として述べておきたいと思います。  2月26日に行われた株式会社大宝立地調印について、大宝の会社概要、協定書の内容、求人の内容、県からの支援内容、それぞれお伺いしたいと思います。 95 ◯船水産業立地推進課長  御質問4点にお答えいたします。  まず、大宝の会社概要ですが、県、五所川原市と協定を締結した株式会社大宝は、本社が名古屋市守山区、資本金が1,000万円、従業員50名、事業内容は半導体製造装置や工作機械などのワイヤーハーネスの製造を行う。売り上げは今期、平成30年6月期の決算見込みが約12億円ということになっています。  続きまして、県、五所川原市と企業と締結した協定書の内容についてです。  この協定書の具体的な内容につきまして申し上げますと、県と市町村は事業所の円滑な運営が図られるよう、可能な範囲でできるだけ協力すること、さらに立地企業は企業の従業員の採用に当たりまして、地元出身者を優先的に雇用するよう努めること、さらには立地企業は事業所の開設及び運営に当たり、法令等の規定を遵守し、公害の発生の防止と周辺環境の保全に努めるものとし、必要に応じて県または市町村と公害防止協定を締結することなどを盛り込んでおりまして、企業の事業所の開設に当たりましては、地元住民との協調、あるいは円滑な運営を確保するための必要な条項を盛り込んでおります。  続きまして、今回の大宝の求人の内容についてです。  今回の求人は、操業開始に当たって募集職種及び雇用人数が軽作業者10名及び製造の管理者1名の計11名となっております。  雇用形態は正社員及びパート、資格は不問で、給与は正社員が13万5,000円から15万円の間、パートが時給800円、福利厚生は各種社会保険加入のほか、皆勤手当、交通費の支給、あるいは有給休暇制度があります。また、休日は土日、年末年始のほか、ゴールデンウィークと夏季休暇がありまして、年間休日数は114日となっております。  なお、求人に当たっては、地元のハローワーク五所川原と数度にわたって相談した上で、必要な助言を受けた募集内容になっていると聞いております。  4点目としまして、県からの支援内容についてですが、県では誘致企業が新規に立地した際に、まずは最も不安に感じる人材の確保に対する支援としまして、企業の求人内容を紹介する広告を地元の新聞に掲載することとしておりまして、今回も大宝の件ですが、2月27日発行の地元新聞に求人広告を掲載しております。  さらに、今後、企業がお願いしたいという需要があったらになるのですが、県内の高校、あるいは大学の就職の担当の先生のところに同行訪問しまして、会社のPRをするとともに、県が作成している誘致企業を紹介するガイドブックに掲載を行うという協力をすることになります。そういったことで、立地企業の知名度を少しでも向上させるということを狙いとしております。  なお、補助金につきましては、設備投資の支援であります産業立地促進補助金の申請については現在、まだ申請はありませんが、今後、新増設に当たりまして設備投資が1億円以上、あるいは雇用が10人以上、土地の取得または土地のリースを伴う場合などの要件を今後全て満たした場合には補助金の対象になることはできるということになります。 96 ◯諏訪委員  名古屋は、東京より遠いところです。名古屋に本社があるのに、漆川団地で、なぜこれが成立したのですか。 97 ◯船水産業立地推進課長  今回の大宝の代表取締役社長に本県に来た経緯について聞きましたところ、名古屋の中日ビルに各自治体の名古屋事務所が入っておりまして、本県の立地センターもあるのですが、本県も含めて幾つか回ったところ、青森県の対応が一番よかった。社長いわく、接客の印象が一番よかった。なおかつ、その後、本県も含めて二、三、現地に行ったのかもしれないのですが、青森県にはトータルで4度ほど来ていただいておりまして、現地視察の対応が非常に丁寧でよかった。あとは当然のことながら、条件の合った物件があったというのが一番大きいのですが、初動から県の自治体の対応が非常によかったというのが今回、進出の大きなきっかけになったと聞いております。 98 ◯諏訪委員  おもてなしということですか。それが教訓になっているのだったら、接客なりおもてなしを大事にして、第一印象がとても大事らしいということを今回やりとりしてわかったので、ぜひそれを今後に生かしていただきたい。  私どもも、誘致企業を受け入れる際には、協定の中身をしっかりさせる。地元雇用を1人でも2人でもふやしていただく。賃金も含めて、できるだけ雇用条件の向上策をとってもらいたい。  公害のない企業、それから地元の業者との相乗効果が発揮できる企業が本来なら、一番いいのです。何か取引できるものが県内の地元業者であれば、それとの取引が進むということになりますので、地元業者との関係と、新たに公害防止協定を結ぶ必要があるのか、この2点についてどうなっているのか教えてください。 99 ◯船水産業立地推進課長  公害の協定に関しては、ワイヤーハーネスの製造に関しましては、特に汚水とか、そういったものが基本的に製造に伴って出ませんので、現状ではそういう協定の締結は必要ないものと考えております。  地元企業との取引の促進という観点ですが、今回の大宝に関しては、地元企業にも下請を発注するような製品は今のところはないということでは聞いております。極端な典型的な例を申し上げますと、県南であればアルバック東北、津軽でいいますとキヤノンプレシジョン、あるいは弘前航空電子という大きな企業に関しては協力企業ということで地元の企業にもいろいろ発注をしていただいておりますし、逆に県外から企業をさらに引っ張ってくるという強力な経済効果の大きい誘致企業も中にはおりますので、そういった大きな企業も、もちろん、来ていただくには本当にありがたい話なのですが、大小さまざま、規模はありますので、今回のようなものも含めて、いろんな企業に来ていただいているということで営業活動を行ってまいります。 100 ◯高橋委員長  ほかに質疑はありませんか。──田中委員。 101 ◯田中委員  時間がたつのは早いもので、商工労働部の葛西部長にはこの3月で定年退職されるということで、長きにわたり県政発展のために御尽力をされてまいりました。心から敬意を表するとともに、お疲れさまでした。  葛西部長といえば、50歳になってからマラソンを始めたと聞いております。その結果、メタボ体質から筋肉体質に変わり、元気はつらつとして明るく業務に邁進している印象を持っております。気苦労が多い部長職において、健康に留意しながら、本県産業の振興に積極果敢に取り組む姿勢には感心するものです。  本県においても少子高齢化、人材不足など、さまざまな課題が山積しておりますが、葛西部長のように明るく前向きに県政も発展していきたいと思います。  そこで、退職に当たり、所感をお聞きいたしたいと思います。本県の経済発展に向けて、今後どのようなことを期待しているのか、葛西部長の所感をお伺いいたします。 102 ◯葛西商工労働部長  青森県の経済は緩やかに回復しているということで、さまざまな経済指標もいい流れに、現段階ではあると思っておりますけれども、県内の企業の中には景気回復の実感がなかなか伴わないという声が多く聞かれております。これもさまざま、今年度も議会で議論いただきましたけれども、構造的な労働力不足の問題であったり、事業承継の問題であったり、足元ではいろいろな悩みや課題があります。  特に社会経済のスピードが大変早くて、どうしたらいいのかわからないという企業もたくさんあります。そういった中で、私どもも今年度の重点事業を含めて、いろいろな施策を組ませていただいておりまして、それをしっかりと実効性を上げるように取り組むことが大事だと思っておりまして、足元の経済を足腰の強い経済にするということがまず一番肝心だと思っております。  一方では、守りの面だけではなくて、経営革新とかイノベーションを図っていくというチャレンジングな気持ちも中小企業にはどんどん持ってもらいたいと思っております。自分の会社の強みとか地域の特性とか、どんどん生かせる分野がたくさんありますので、例えば当部であれば、医療、福祉、健康、ITなど、ライフ関係に力を入れている分野がありますけれども、そういったところをどんどん攻め込んでもらいたいと思っております。それが地域経済を引っ張っていく力になりますし、魅力的な産業分野をたくさんつくっていくということが若い人たちの雇用にもつながっていくと思います。従前どおりの産業経済だと、なかなか若い人たちも地域経済に魅力を感じていないと思っていまして、若者に迎合するということではありませんけれども、時代の変遷に即した形で新しい経済の流れを、産業の流れをつくっていくということにも力を入れていきたいと思っております。  いずれにしても、県議会議員の皆様と県庁と本当に力を合わせて、青森県の経済が力強くこれから発展していくことを切に期待しております。 103 ◯田中委員  葛西部長の所感をお伺いいたしました。県政に参画して、3月で退職ということで、多くのいろいろ思いがたくさんある中で、非常に重要な観点を出していただきました。やはり足元をきちんと見据えて、そして常にチャレンジ精神を持って、また、先ほど県外からの誘致企業の社長が本県を選んでくれた。それはおもてなしの心という、本県の風土に根差したいいものを持っている本県です。どうか商工労働部の皆様におかれましては、先ほどの葛西部長の御答弁を踏まえながら、商工労働行政に取り組んでいただきたいと思います。  また、葛西部長におかれましては、退職後、マラソン人生に磨きをかけて、県内一、さらには日本一の長寿マラソンランナーを目指してほしいと思います。一方で、これまでの御経験を生かし、さまざまな角度から県政発展のためにもお力添えをお願い申し上げるものです。  本当にお疲れさまでした。 104 ◯高橋委員長  ほかに質疑はありませんか。  [「なし」と呼ぶ者あり]  ないようでありますから、これをもって商工労働部観光国際戦略局関係の審査を終わります。  次に、お諮りいたします。  当委員会に付託されております特定付託案件について、さらに継続審査とすることに御異議ありませんか。  [「異議なし」と呼ぶ者あり]  御異議なしと認め、継続審査と決定いたしました。  なお、委員長報告の作成については、本職に御一任願います。  以上をもって商工労働観光エネルギー委員会を終わります。 ○閉 会  午後2時6分 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...